法人化のメリット(1.給与所得控除の利用による節税)
個人事業を営んでいる主宰者が、法人を設立して事業を移行させることを「法人化」といいます。このコラムで法人化のメリット・デメリットを数回に分けて解説しますので、是非参考にしていただき、個人事業を継続するか法人化するかを判断したいものです。
法人化の代表的なメリットの一として、給与所得控除の利用による節税があります。
給与所得者(サラリーマン)が収入を得るための経費としては、スーツなど仕事用の衣服やスキルアップのための研修費用などの様々な支出があるかと思います。
しかしながら、そのような経費を個別に把握することは現実的に困難であるため、給与所得控除という給与収入に応じた概算経費が決められています。
この概算経費は、実際の経費支出は必要なく、当然領収書なども不要です。
給与所得控除は、たとえば給与収入が800万円の場合200万円となります。
法人成りをすると、法人から自分に給与を支払うことになりますが、個人事業の所得が800万円の場合、この事業を法人化して同額の給与を支払えば法人利益はゼロになります。
個人事業では800万円の事業所得に対して所得税・住民税・事業税が課税されますが、法人化した場合には200万円の給与所得控除を差し引いた600万の給与所得に所得税・住民税のみが課税されます。
すなわち、会社の経費となった800万円の給与から、さらに個人で給与所得控除という概算経費を差し引くことができることと個人の所得が事業所得ではなく給与所得となるために個人事業税が課税されなくなることが節税の理由です。